8月3日の夕刻に放送された東京放送系報道番組で、呼吸器内科院長である医師が胸のすくような発言をしてくれました。発言されたのは栃木県で開業している倉持仁先生です。
医療体制の逼迫から新型コロナ患者の入院に対する指針を国が改めると発表しましたが、中等症患者が自宅療養となるという案には与党内を含む各方面から批判が相次いでいます。凡夫の私でも、こんなどうしようもない愚策を政府が発表する事態の深刻さがわかります。倉持先生は、地域医療の最前線で奮闘している医師として、患者を見捨てるような政府方針に怒りを抑えられなかったのでしょう。
倉持先生は以前から何度かテレビ出演されていますが、言葉を選んで慎重かつ誠実に発言されていた印象です。その先生が、菅総理と小池都知事を名指しして「辞めた方がいい」と仰ったとのこと。これはただ感情的に醜い悪口を繰り返す愚者とは違います。明確に医学的な理由を述べて政府の方針が不適切なことを批判されています。そして、国民の命を守るには暴言とも見做されかねないほどの厳しい意見を述べなくてはいけないと判断されたのだと思います。
「こういう人たちに国を任せては国民の命は守れませんから、2人とも至急お辞めになった方がいい。」との発言はあくまで国民のための意見です。「医療現場からすると信じられないですし、まっとうじゃない」との言葉は正直な心情発露でしょう。多くの国民が倉持先生の主張に賛同し、よくぞ言ってくれたと心中で喝采を送っているはずです。
名指しされた首相と都知事を始め周辺の関係者は不愉快だろうと察しますが、間違ってもこれによって倉持先生が不利益を受けるようなことがあってはなりません。国民による権力の監視は常に必要です。
それにしても国民、都民が選んだ政治家のはずですが、何でこうなるんでしょうかね。有権者にも真摯な対応が求められそうです。
(蒙昧録1-9 終わり) |