「東京五輪を開催するから、コロナ緊急事態は確実に終わる」と諸賢がささやいておりますが、当庵主人はこんな社会状況で本当に「平和の祭典」ができるのか極めて懐疑的です。
それはともかく、五輪に関する記事(NEWSポストセブン)を見ていたら「ショーケーシング」なる言葉が平然と使われていました。これは記者や編集部ではなく、五輪関係者から発せられた言葉のようです。時代遅れの私には意味がわかりません。正確には「わかりたくない」「わかってやるものか」でした。
もちろん英語の"showcase"がガラス張りの陳列箱を指すことくらい知っています。"ing"が付いているからには動詞のはずで、要するに「陳列」なり「展示」なりをする行為のことか、と想像を巡らせることもできます。検索したところ、"showcase"には他動詞として「展示する、紹介する」という意味があることが確認できました。しかし、釈然としません。多くの国民が注目する一大行事でなぜこんな馴染みの無い単語を使うのでしょう。「お披露目演舞」などと表現してはいけないのでしょうか。
さらにこの記事には、「パートナーミーティング」、「パブリックビューイング」、「ライブサイト」などの言葉も使われています。これらも何となく想像はできるものの、意味の説明が困難なので自分からは絶対に使いません。
記事発見を契機に本家の東京五輪・並輪競技大会組織委員会の公式電覧掲書(website)を開いたら、さらに輪をかけてカタカナだらけでした。
まず注意書きからして、
「閲覧履歴に基づいてお客様のプロフィールを構築し、またエクスペリエンスを改善しパーソナライズするために、クッキーを使用します。詳細はIOCのクッキーポリシーに記載されています。デフォルトでは、クッキー(必須クッキーを除く)は無効になっています。」
と来ます。拒絶反応が起きて、頭に入りません。焼菓子をヤケ食いしたい気分です。
項目名も見慣れない言葉だらけです。「ビクトリーセレモニー」、「アクション&レガシー」、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」、「エスコートキッズプロジェクト」、「オフィシャルコントリビューター」などなど。国内各地で進められている聖火継走の行事を報じているのは「東京2020オリンピック聖火リレーデイリーレポート」だそうです。
個別の英単語の意味はわかっても、大量の疑問符が天から降ってくるような感覚に陥ります。
宣言文の方だって負けていません。
「東京2020大会では・・・3つの基本コンセプトとし、『史上最もイノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会』の実現を、大会ビジョンとして掲げています。」
「私たちは、『Know Differences, Show Differences.
ちがいを知り、ちがいを示す。』のアクションワードのもと、ダイバーシティ&インクルージョンを、大会ビジョンの実現、ひいては東京2020大会成功の原動力として、大会計画・運営準備を進めています。」
だそうです。
これ、日本語ですか。言語選択は「日本語」になっていましたが、虚偽説明じゃないですか。うそジャロって言いたくなります。
私は当時幼くて正確なことはわかりませんが、昭和39年の東京大会はもう少し慎みと品格のある言葉遣いだったのではないかと思います。日本のコロナ感染実態を無視して大会が強行されようとしていることが胡散臭いだけでなく、コロナ以前から組織委員会が言葉の面で不愉快な種をたくさん蒔いていたことに今更ながら気づきました。
腹が立ってきたので、一番しゃくに障った「ダイバーシティ&インクルージョン」を茶化して当て字標題にしました。私の気分を反映した漢字を当てています。公式文書のカタカナだって何を言っているのかわからないのだから、出鱈目の漢字で表しても同じことです。
(蒙昧録1-8 終わり) |