観林庵主人蒙昧録 1-10 
福島第一原発爆発の疑問 
令和4(20221)年3月13日作成  令和4年3月13日最終更新
 

 先週、テレビニュースでさりげなく伝えられた報道で気になったことがあります。それは福島第一原発の爆発に水素以外の物質が関わっているという話です。

 自慢するわけでは無いですが、あの爆発の映像を見たときから「水素だけであんな派手に黒煙を出して爆発するのか?」と漠然とした疑問を抱いていました。火薬で爆発させたのではないかと思えるような映像だったからです。
 私は火薬も燃焼も素人ですが、昔蒸気機関車の本を読んだときに、力強さの象徴であるあの黒煙は石炭が完全燃焼すれば消えて白くなるとの記述を見つけ驚いたことを憶えています。黒い煙は不完全燃焼で出る炭素の微粉、つまりススであって、完全に一酸化炭素か二酸化炭素になれば無色透明の気体だから目に見えないというのですね。

 では水素は、といえば燃焼したら水素と酸素が結合して水になるだけで、ススなど出ようはずがありません。あの黒っぽい煙は何だったのか。疑問は生じたものの、その原因を探求する立場でもないしヒマもありませんので、いつしかうやむやにして過ごしてきました。
 それが発生から10年以上経ってやっと話題になったのです。世間はあまり注目していないようですが、やはりあのときの疑問は間違っていなかったんだと、不幸な事故ながら得心しました。調べたところ、昨年の夏頃から水素以外の物質の影響について調査が進められていたようです。

 今回の報道によれば、原子炉格納容器の中にあるケーブルや保温材が加熱されることにより発生したプロパンやトルエンなどの可燃性ガスが燃えた、との仮説が挙げられています。現場に存在する素材から想定されるのはそうした可燃性ガスなのでしょう。けれどこれも素人考えですが、プロパンみたいな炭素量の小さいガスが燃えてあんな煙が出るのかという新たな疑問が湧いています。ガスコンロでススはほとんど出ないですよね。

 さて、真相は果たして何なのか?素人でも疑問に感じるようなことが今頃になってようやく指摘されたわけですが、時間がかかった原因がヤバい事実を隠蔽するためでないことを祈りうつ、今後の展開を注視していきたいと思います。

令和4年3月10日(木)22:02配信の日テレニュース『福島第一原発 3号機爆発…黒い煙の正体と今後の廃炉作業』を読んで

(蒙昧録1-10 終わり)

 
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