観林庵主人蒙昧録 1-7 
掃除機は無い。クリーナーならある。
令和2(2020)年12月2日作成  令和3年2月22日最終更新
 

 観林庵で使う電気掃除機を買おうと、3つ先のバス停の近くにある家電量販店に出かけたときのことです。ここは馴染みの店ではないので天井から吊された案内板を目で追いながら少し店内を歩いたのですが、「掃除機」という表示が見つかりません。うろうろしていたら、表示を見ずとも掃除機が陳列されている一角にたどり着くことができました。そこに掲げられていたのは「クリーナー」と書かれた案内板でした。

 示された文字を自分が欲する商品と結びつけるのに抵抗を感じながらも、目的の場所にたどり着けた安堵を優先し、気を取り直して品定めを始めました。しかし、個々の商品にもやはり「クリーナー」という札が付いています。「これは掃除機じゃないんか!」という絶叫をやっとのことで口中に押しとどめつつ、しばらくたじろいでしまいました。言葉の通じない異世界に迷い込んでしまったかのような不安すら感じるほどでした。

 漸く「掃除機」と書かれた商品を見つけたときはかなり意地になっていて、性能や価格の検討などどうでもいいからこれにしようと決めました。それが怪しげな外国産ではなく、三菱電機の製品であったのはまことに幸いでした。

 三菱電機は、エアコン(本当は空調装置と称してほしい)に「霧ヶ峰」という商品名を付けている会社で、昔は「高雄」という銘のカラーテレビも売っていましたので、元々好感を抱いていました。「やっぱり三菱電機だ!」と満足感に浸りながら、掃除機を抱えて帰りました。

 買った掃除機そのものはさすが日本の大手電機会社の製品で、使い勝手も良く、今後ずっと愛用していきたいと思っています。三菱電機株式会社様、これからも掃除機を「クリーナー」などという虚名で売ることは断じてしないでください。お願いします。
 できるならば、型録表紙の社名表記も「Mitsubishi Electric」より「三菱電機」を大きく表記していただけると嬉しいです。だって日本の会社が日本人向けに日本語で作った型録なのですから。

(蒙昧録1-7 終わり)

  
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