最近大型商業施設などで、客が自分で支払い処理をする方式(いわゆるセルフレジ)が増えている。少し前は百均と呼ばれていた低価格雑貨店でもセルフレジばかりになったのでやむなく挑戦してみたが、慣れない機械の操作で戸惑ったうえに、処理忘れが無いか何度も確認したから大変疲れた。
考えてみれば、買い求める商品の計上作業を客に強要しているわけだし、さらに読み取り失敗や勘違いによる万引きえん罪のリスクまで客に負わせる実に怪しからん仕組みである。監視カメラを設置したり誘導員や保安員を置く余裕があるなら、有人レジを増設するのがスジだと思う。人手不足だとか経費節減だとかの言い訳を追認してセルフレジ誘導作戦に屈服し、中には「利用する側も注意が必要」などという警告を流す者もいるようだが、強者の奢りだぞと忠告したくなる。
間抜けを自認する私は今のところセルフレジを忌避して有人対応の列に辛抱強く並んでいるものの、そのうちこのような社会的落とし穴ばかりになったら避けきれないのではと危惧している。「多様性の尊重」を叫ぶなら、性の多様性ばかりでなく注意力の多様性も尊重してほしい。愚鈍な人間が愚鈍にふるまっているだけで犯罪者(ここでは万引き犯)におとしめられる社会が健全と言えるか。
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令和4年2月20日(日)10:44配信の読売新聞ニュース『教員、セルフレジで一部精算せず「ピッという音聞いた」…女性保安員に呼び止められる』を読んで
(蒙昧録1-12 終わり) |