自分の憶えとして、既読書の印象的な部分を抜き書きしました。
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・・・柳が1952年から55年にかけて書いた文章には、日本人の過度な西洋崇拝を嘆き戒めたものが多い。そこでの主張は次のようなものであった。
講和条約の成立によって日本は政治的独立を果たしたが、文化的・精神的にどれだけ独立しているであろうか。真の独立のためには、民族としての「矜持」が必要である。「いたずらな西洋崇拝は、かえって西洋から軽蔑を招く」ことを知らねばならない。「模倣社、追従者」は「二義的な存在」でしかあり得ず、「西洋はいたずらに西洋を模すものを、歓迎しない」。けれども日本人は、日本文化の再評価においてすら、西洋人の後追いをしている。日本人は、東洋人としての存在理由を自覚し、東洋人としての使命を果たしていかねばならない。世界に寄与できる文化を十分にもっているはずなのだからなおさらである。
出典: 中見真理 『柳宗悦 「複合の美」の思想』、岩波新書(平25)、181-182頁
(蒙昧録1-13 終わり) |