観林庵写真帖 12 
令和3(2021)年6月29日作成  令和3年7月24日最終更新
 

晴明神社の桔梗
京都市上京区  平成28(2016)年6月29日

 我が家の玄関には、晴明神社の方除け札がお祀りしてあります。代々崇敬していると言いたいところですが、書物で知って軽い気持ちでお参りするようになった新参者です。私が足を運び始めた頃は陰陽師モノが流行る前でしたので、拝殿の前で並ぶようなことも無く落ち着いて手を合わせることができました。以来、時折気が向いたときに参拝していました。

 そんな軽薄な私でも細く長くご縁を保っていると、ご祭神は認めてくださるのかもしれません。前の参拝からだいぶ経ってしまっていたある年の夏に、「そうだ晴明神社、行こう」と思い立って出かけたら、境内では桔梗の花が満開でした。ご祭神である安倍晴明公の五芒星紋は「晴明桔梗紋」と呼ばれていて、桔梗の花は象徴的な意味を持つ特別な花です。青紫色の桔梗がいくつも花を開いているのを見ると、清浄な五芒星がきらめいているように感じられます。愚鈍な私でも空気感の違いを察しました。期待していなかったから余計に嬉しく、私は「お招きいただいた」と都合良く解釈して拝殿に向かいました。

 翌年からは夏至の頃に参拝するのが習慣となり、方除け札をあらためる時期が概ね定まることになりました。写真は平成28年に詣でたとき撮影したものです。この日は何かの都合で有給休暇を取っていて、余った時間で晴明神社を訪れたのです。最近は若い人の参拝が多く結構賑やかですが、6月末の水曜日はさすがにすいていましたから、このように誰も居ない状態で桔梗の咲く拝殿を撮ることができました。

 今年もそろそろ桔梗の咲く季節です。新型コロナ蔓延防止措置が解除されたら、いつものように市営バスで一条戻橋へ行こうと思っています。ですが、また感染者が増え始めそうですね。悪疫が早く治まりますように。

(写真帖12 終わり)

前へ
[観林庵日記巻頭]
次へ