京都市街の北東部、二つの川が合流して鴨川となる地点は「鴨川デルタ」と呼ばれ、親しまれています。清流を飛び石伝いに渡ることができる楽しい空間です。周囲に高い建物が無く、空が広く感じられるのも嬉しいです。
京阪電車の出町柳駅からすぐなので、相国寺に行くついでに高野川部分を渡ってみました。飛び石の中には亀の形をした石もあり、遊び心が伝わってきます。本流中央付近の2匹は流れに立ち向かって踏ん張っている姿で、愛らしいです。それなりの大きさの石ですから当たり前ではありますが、どっしりとしていて、背中に乗ってはしゃいでもびくともしません。
この日は好天に恵まれ、ただ川を渡っただけなのに豊かな心持ちになることができました。鴨川デルタで遊ぶとやはり似たような感覚を抱くのでしょうか。辺りはそこそこの人出だったにもかかわらず、場の空気はとても穏やかでした。
あざとさと毒気に満ちた拝金的享楽施設「インチキ・リゾート」なんぞを作る企みがあるようですが、せせらぎに亀の飛び石でも置いた方が世のため人のためになると私は思います。
(写真帖9 終わり)
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