国鉄バス資料室
209 早坂高原線
平成14(2002)年8月20日開設、令和3(2021)年6月27日最終更新
 早坂高原線は盛岡市から岩手郡玉山村を経由して郡境の早坂峠を越え下閉伊郡岩泉町に至る路線である。それまで盲腸線だった権現線名目入−権現間(昭和28年11月28日開業)が延長される形で、昭和42年8月1日に権現−(盛岡)大通二丁目間(64.8km)が開業し、岩泉と盛岡を結ぶ最短経路となった。
 沿線人口の少ない地域であるため本数はそれほど多くなく、国鉄監修時刻表昭和43年10月号では盛岡−岩泉営業所前間4往復となっている。当時の所要時間は盛岡行4時間10分、岩泉営業所前行が4時間14分であった。現在(平成14年)は盛夏期6往復(うち3往復は岩手県交通)、春・秋4往復(うち2往復は岩手県交通)体制となり、所要時間は盛岡−岩泉営業所前間2時間15分と大幅に短縮されている。冬季間はずっと全面運休を続けていたが、昭和50年代末から(東北新幹線開業後?)は冬季も2〜3往復運転されるようになった(うち1往復は岩手県交通)。
 なお、当線は共同運行の岩手県交通と共通乗車制度を採用しており、国鉄時代は普通乗車券の他、回数乗車券や定期乗車券(権現−栗畑間発着のものに限る)、そして周遊券(ワイド・ミニも含む)でも岩手県交通の便に乗車することができた。しかし、民営化後発売された周遊きっぷは共通乗車の対象から除外されている。
 
 
竜泉洞前発盛岡行
641-0904
岩泉営業所前 S61.7.29

 左の写真は9:10に岩泉営業所前を出る早坂高原線盛岡行の乗車風景である。この便に乗れば昼前には盛岡に着く。
 このとき私は先に帰る友人A君を見送るためここに立っていた。風来坊の私たちは「使える路線がある」から選んで乗るだけの話だが、地方では選択の余地が無い唯一の交通手段という場合も多い。岩泉地区の国鉄バスは典型のように思える。
 わずかな利用者を裏切らず時刻通りにやってきて乗り場にピタリと止まり、無口だが頼りになりそうな運転士が扉を開ける。盛岡行の641型はまさしくそんな姿で私をしびれさせてくれた。車体側面のJNRの徽章がいっそう輝いて見えた。

 
1 路線概要
 
◆ 昭和60年11月1日当時の路線(国鉄自動車線普通旅客運賃表S60.10.28公報通報版)

早坂高原線
(早坂高原本線)

盛岡−大通三丁目−名目入−岩手小川−岩手落合−上岩泉−岩泉営業所前−沢廻−乙茂−岩手中野間 (109.2km)
・岩手落合−浅内間(1.3km)
・上岩泉−岩泉駅前(#)間 (0.3km)
(有芸線)
・乙茂−上有芸間 (13.9km)

下線=鉄道線接続駅
(#)=旅客営業規則第17条「自動車線駅と鉄道駅との特殊取扱」で最寄りの鉄道駅と同一駅の取扱をする駅

○ 途中下車指定駅 : (早坂高原本線) 岩洞湖、早坂高原
◆ 国鉄時代(昭和55年10月末)の関係現業機関 : 岩泉自動車営業所 (東北地方自動車部)
 
2 略史

(準備中)
 
3 関連資料

 
<108dpi>
早坂高原線開通記念券 昭和42年8月



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