観林庵 我楽多箱 3 
令和2(2020)年8月31日作成  令和3年7月26日最終更新

← 紅茶缶 ディルマ「セイロンシュープリーム」 125g
(CEYLON SUPREME TEA)
平成24(2012)年頃入手
 
 出かけた先の食料品店で見つけた紅茶です。「Dilmah」という銘柄は初めて見たものでしたが、缶の造形も仕上げもしっかりしていたので、買ってみました。普段の紅茶が切れたところで開封し飲んでみると、期待を裏切らない実に美味しい紅茶でした。

 後になって、ディルマはスリランカの地元企業が販売する銘柄だとわかりました。有名な紅茶の銘柄は多くが欧州の企業によって販売されていますが、考えてみればこれは帝国主義の遺産みたいなものです。インドやスリランカで安く買った茶葉を欧州に持って行って調製し、英国産やフランス産として世界に販売する手法は、植民地時代と同じ図式と言えないでしょうか。まあ、私もそれを有り難がって飲んでいるクチなので、責任の一端を認めないわけにいきませんが。

 昭和26年のサンフランシスコ講和会議において、セイロン代表として出席した故ジャヤワルダナ蔵相(後のスリランカ大統領)が対日賠償請求権の放棄を明らかにし、さらに日本を国際社会の一員として受け入れるよう訴える演説を行ったことで、日本に対し厳しい制裁処置を求めていた一部の戦勝国をも動かしたといわれています。日本人はジャヤワルダナ閣下とスリランカの人々に心から感謝する必要があるようです。
 そのスリランカで、こんな質の良い紅茶を直接世界に販売する会社ができたのです。実に喜ばしいことです。

 現在(令和2年8月)、ディルマのウェブサイトで商品一覧を見ても、このセイロンシュープリームは載っていません。セイロン紅茶をさらに地域別にした「ワッテシリーズ」が出ているので、商品構成の見直しをしたのでしょうか。ヌワラエリヤ産茶葉のラン・ワッテやディンブラ産のウダ・ワッテも悪くないですが、私はやはりスリランカ流の正統派セイロンブレンド紅茶を所望します。セイロンシュープリームはそれに近いものだったのではないかと思っています。Dilmah "CEYLON SUPREME" の日本国内再発売を期待しています。

(我楽多箱3 終わり)

前へ
[観林庵日記巻頭]
次へ